※ヒビミル参考資料:1

熱膨張に対する問題

 ヒビミルを取り付けたとき、温度変化により多少の膨張収縮が発生する。取り付け時には、0点設定が施されているため取り付け後の温度に対する熱変化を考えなければならない。コンクリートに直射日光が当たる場所は冬季でも表面温度は25〜35℃程度まで上昇する。また夏季では表面温度は45〜50℃程度まで上昇することがある。取り付けられたヒビミルの温度とコンクリート表面の温度は、比熱や熱伝導率等が関係して同一にはならない。さらにコンクリートやヒビミルが暴露状態にあることから風による熱損失も発生しヒビミル単独の温度がコンクリート表面温度との間に、どの程度の温度差が発生するかは、推測することが非常に困難である。ヒビミルの用途から考えて上記のような精度を必要とする計測器ではない。このことから通常では熱変化を考慮することは不必要と考える。

 ここで熱変化の試算を試みる。ヒビミルの熱変化は刻まれたスケールが2次元であることから線膨張を想定すればほぼ良いと考えられる。体膨張はこの場合考慮することはそれほど大きな問題ではないと考える。ヒビミルのスケールの中でも水平用スケールのX方向(ひび割れが広がる方向)に熱膨張の影響が現れる。他のスケールは膨張・収縮しても互いに消去しあう位置関係にある。
 温度はコンクリートやヒビミルの温度ではなく気温で試算する。
    設置時の気温:θ     計測時の気温:θ’
    熱変化の対象長さ:L   温度変化後の長さ:L’
    計測読み値:m      線膨張率:β
   L’=L{1+β(θ’−θ)}
 上部下部の両スケールの変化があることから変化量は2倍となる。
   2×(L’−L)=2Lβ(θ’−θ)=ヒビミルの変化量-----式1
 
 上記の式1から真の値が算出される。
      m+2Lβ(θ’−θ)=真の値

ex
    設置時の気温:θ=20℃     計測時の気温:θ’=35℃
    熱変化の対象長さ:L=24.5mm(固定値)  
    計測読み値:m=2.3mm      線膨張率:β=6×10-5(固定値)
    2.3−{2×24.5×6×10-5(35−20)}=2.344mm=真の値
           使用材料:アクリル樹脂=デルペット:旭化成工業(株)


 ※温度補正を行う場合は、設置時にヒビミルを取り付けた場所での温度計測をして下さい。また計測時にも同様の計測を行って下さい。